「訪問看護 レセプト 特記事項 一覧」は、所得区分等を示す「特記」欄と、算定状況を示す情報欄の「特記事項」を分けて確認する必要があります(2026年10月時点)[9]。「01 公」「02 長」は訪問看護の「特記」欄にもあります[9]。医科のコードを一律に流用することも、訪問看護では使わないと判断することも避け、訪問看護の記載要領で照合します。
番号一覧は記載要領の通知にあります
訪問看護の特記事項の番号と略称は、令和8年3月27日改正の記載要領の別添3に掲載されています(2026年10月時点)[9]。情報欄の一覧は次のとおりです。
番号・略称 | 該当する場面と追加する情報 |
|---|---|
1 他(1)・2 他(2) | 対象利用者が他のステーションからも訪問を受ける場合。相手先の所在地・名称は「その他」に記載 |
3 従 | 従たるステーションの看護師等が訪問した場合 |
4 特地 | 特別地域訪問看護加算を算定した場合。移動時間等の追加記載条件も確認 |
5 介 | 要介護被保険者等の訪問を医療保険で算定した場合 |
6 支援 | 在宅療養支援診療所・病院から24時間対応体制の文書が提供されている場合 |
7 同一緊急 | 他のステーションの計画訪問日に緊急訪問加算のみを算定した場合。直前の基本療養費算定日等も記載 |
8 退支 | 退院支援指導後、退院翌日以降の初回訪問前に死亡・再入院した場合。該当日も記載 |
9 連 | 看護・介護職員連携強化加算を算定した場合。同行訪問日も記載 |
10 緊急訪問看護の理由 | 緊急訪問看護加算等を算定した日ごとの訪問日と理由 |
11 包括型 | 包括型訪問看護療養費を算定した場合。当月の単一建物居住利用者数も記載 |
12 訪看遠補助 | 訪問看護遠隔診療補助料を算定した場合。訪問日も記載 |
13 障害 | 障害認定を受けた後期高齢者が75歳に達した月で、自己負担限度額が2分の1とならない場合 |
2026年度改定でも改正通知が出ています。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定のページには、「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日 保医発0327第2号)が掲載されています[1]。同じ日付で「訪問看護計画書等の記載要領等について」(保医発0327第10号)も出ています[1]。
特記事項の一覧は訪問月に適用される版で確認します。令和8年6月適用の改正には「11 包括型」「12 訪看遠補助」が含まれます[9]。古い一覧を参照すると追加項目を見落とすため、請求担当者が使う表にも適用月を記します。
「特記」欄には01公・02長などのほか、26〜30の所得区分や41・42の後期高齢者医療の区分があります[9]。情報欄の1〜13と同じ欄ではありません。ソフトの入力項目名と、出力された明細書の欄名を照合します。
医科の明細書と様式が別であることにも理由があります。訪問看護療養費請求書と訪問看護療養費明細書の様式は、請求に関する命令の附則第3条で「こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式による」と定められています[7]。診療報酬明細書とは別の告示・通知の系統で管理されている書類です。似た欄名があっても、中身は同一とは限りません。
医療保険か介護保険かが最初の分岐
要介護被保険者等の訪問看護は介護保険が原則ですが、別表第七の疾病等や特別訪問看護指示書に基づく訪問などは医療保険の対象になります(2026年10月時点)[4][5]。別表第八への該当だけで医療保険へ切り替わるわけではありません。
健康保険法第55条は同一の疾病・負傷について介護保険から相当する給付を受けられる場合の医療保険給付を制限しています[4]。訪問看護の例外は令和8年6月適用の給付調整通知で確認します[5]。
特別訪問看護指示書に基づく頻回訪問は、指示があった日から起算して14日を限度として算定します[3]。実際に医師が指示した期間内の訪問が対象であり、交付されれば必ず14日間すべてを医療保険で算定するという意味ではありません[6]。
同じ月に介護保険の訪問と特別指示に基づく医療保険の訪問があれば、実績を期間で分けて請求します。月をまたぐかどうかだけでは、請求区分は決まりません。AX総合研究所は指示書を受け取った時点で看護職と事務が開始日・終了日を共有する手順を提案します。
別表第七の20の疾病等
別表第七は末期の悪性腫瘍や神経難病等、人工呼吸器を使用している状態を含む20項目の疾病等の一覧です(2026年10月時点)[2]。「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)に定められています。
見出しは「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)及び在宅患者訪問診療料(Ⅱ)並びに在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料に規定する疾病等」です[2]。
区分 | 疾病等 |
|---|---|
悪性腫瘍 | 末期の悪性腫瘍 |
神経難病等 | 多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症 |
神経難病等 | パーキンソン病関連疾患、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎 |
代謝性疾患等 | ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎 |
その他 | 後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態 |
別表第七に該当する利用者は、訪問看護基本療養費の原則週3日の限度の例外です[3]。ただし、パーキンソン病はホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上、かつ生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度という条件があります。病名だけで決めず、指示書等で条件を確認します[2]。
告示の正式名は「特掲診療料の施設基準等」です。事業所の中で「別表7」と略して呼んでいても、原文を探すときは正式名で検索してください。訪問看護療養費の告示(告示第67号)は、この別表を「別に厚生労働大臣が定める疾病等」として引く構造になっています[3]。2つの告示をまたいで読む必要があるため、どちらか一方だけを見ていると条件を取り違えます。
別表第八の5つの状態等
別表第八は特別な管理を要する状態等を5区分で示す一覧で、別表第七と同じ告示にあります(2026年10月時点)[2]。見出しは「退院時共同指導料1の注2に規定する特別な管理を要する状態等にある患者並びに退院後訪問指導料、在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料に規定する状態等にある患者」です[2]。
区分 | 状態等 |
|---|---|
一 | 在宅麻薬等注射・腫瘍化学療法注射・強心剤持続投与・気管切開患者の指導管理、または気管カニューレ・留置カテーテルを使用している状態 |
二 | 在宅自己腹膜灌流・血液透析・酸素療法・中心静脈栄養法・成分栄養経管栄養法・自己導尿・人工呼吸・持続陽圧呼吸療法・自己疼痛管理・肺高血圧症患者・難治性皮膚疾患処置の各指導管理を受けている状態 |
三 | 人工肛門または人工膀胱を設置している状態 |
四 | 真皮を越える褥瘡の状態 |
五 | 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している状態 |
別表第七は疾病名や人工呼吸器の使用状態など、別表第八は特別な管理を要する状態や処置などの条件で判定します[2]。同じ利用者でも、カテーテルが入った月から該当します。月ごとに確認が必要な別表です。 前月の判断をそのまま引き継ぐと誤ります。
退院直後の利用者は、特に確認が必要です。入院中に留置カテーテルや人工肛門の管理が始まっていれば、退院したその月から別表第八に該当します。病院からの情報提供書を事務まで回す経路がないと、この変化は請求に反映されません。
逆に、状態が改善して該当しなくなる場合もあります。褥瘡が治癒したときや、在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定が終わったときです。該当が外れた月に前月の判断を引き継ぐと、請求できない内容を請求することになります。どちらの方向にも起こる誤りです。
週3日を超える算定は疾病等と特別指示の条件を確認します
医療保険の訪問看護基本療養費は原則週3日が限度ですが、別表第七・第八に該当する場合や特別訪問看護指示書に基づく場合には例外があります(2026年10月時点)[3][6]。別表第八への該当だけで介護保険から医療保険へ切り替わる意味ではありません。週の訪問日数と、同じ日に複数回訪問する加算は別に確認します。
1日に複数回訪問する場合の根拠も同じ告示にあります。「別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者又は…特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者に対して、必要に応じて1日に2回又は3回以上指定訪問看護を行った場合」と書かれています[3]。複数回の訪問を請求できるのは、この条件を満たすときです。
整理すると、判断の順番は3段階になります。医療保険か介護保険か。別表第七に該当するか。別表第八に該当するか。疾病等への該当を確認した後、指示書、実際の訪問内容、各療養費・加算の個別要件も照合します。別表だけで算定の可否は確定しません。
金額は改定で変わります。この記事では金額を書きません。告示の改正反映を確認したうえで、厚生労働省の原文から転記してください。
判断に迷ったときの調べ先も決めておくと早くなります。回数と加算の条件は告示第67号、疾病等の範囲は告示第63号の別表、保険の切り分けは健康保険法第55条と給付調整通知。この対応を1枚の紙にしておけば、担当者が代わっても同じ場所を見られます。
提出はオンラインが原則です
医療保険の訪問看護レセプトはステーションごとにオンラインで、各月分を翌月10日までに請求するのが原則です(2026年10月時点)[7]。訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(平成4年厚生省令第5号)の第1条は、訪問看護療養費の請求を「当該指定に係る訪問看護事業を行う事業所ごとに、電子情報処理組織の使用による請求により行うものとする」としています[7]。
期限は第3条です。「第一条の請求は、各月分について翌月十日までに行わなければならない」と定めています[7]。到達の時点についても「審査支払機関の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該審査支払機関に到達したものとみなす」と書かれています[7]。
ただし、実務の締切は審査支払機関ごとに別に案内されます。静岡県国民健康保険団体連合会は紙請求の提出期限を毎月10日(17時必着)とし、オンライン送信は毎月5日から10日の指定時間帯としています[8]。「翌月10日まで」と「10日17時必着」は別の話です。 自分の請求先の案内を必ず確認してください。
同じ命令の第1条は公費負担医療の対象も列挙しています。小児慢性特定疾病医療費、自立支援医療費、生活保護法の医療扶助、原爆援護法、戦傷病者特別援護法、感染症法、石綿健康被害救済法、難病法の特定医療費の8つです[7]。公費との併用がある利用者は、記載欄が増えます。
記載を間違えないための院内の手順
AX総合研究所は特記事項の点検を次の4段階で進める方法を提案します。最初に訪問月に適用される記載要領を確かめます。
- 月初に、記載要領の通知が改正されていないかを厚生労働省のページで確認する
- 利用者ごとに、別表第七・別表第八の該当状況を月単位で記録する
- 特別訪問看護指示書が出た利用者は、指示書の開始日と終了日を控える
- 提出前に、公費併用の有無と請求先の締切を突き合わせる
特記事項の点検結果は根拠にした指示書や資格情報とともに月次の確認表へ残します。記録は紙でもかまいません。続けられる形にすることのほうが重要です。
返戻を受けたときの振り返りも同じ表で行えます。どの利用者の、どの月の、どの判断が誤っていたか。別表の該当判定なのか、保険の切り分けなのか、締切なのか。原因を4つのどれかに分類していくと、自事業所で繰り返している誤りが見えてきます。返戻の原因と再請求の結果を続けて記録し、同じ誤りへの対策を確認します。
事務の量そのものを減らしたい場合は、外注も選択肢になります。対応範囲の考え方はレセプト代行とはに、料金の相場はレセプト代行の料金にまとめました。
まとめ
訪問看護レセプトの特記事項は「特記」と情報欄を分け、保険区分、疾病・状態、指示書、算定内容の根拠を照合して選びます[9]。番号が合っていても、追加する日付や理由が抜けていれば記載は完了していません。
一覧は改定ごとに更新されます。2026年3月27日に改正通知が出ている点を踏まえ、手元の資料の日付を確認してください[1]。
自事業所の請求体制を見直す場合は医療レセプト代行に対応範囲を出しています。個別の相談は無料相談からどうぞ。
※内容は2026年10月時点で厚生労働省およびe-Gov法令検索が公開している資料に基づきます。本記事の番号一覧は情報欄の「特記事項」です。所得区分等を示す「特記」欄とは区別してください。請求の際は通知の原文を確認してください。
参考文献・出典
- 令和8年度診療報酬改定について — 厚生労働省保険局(参照 2026-10-24)
- 特掲診療料の施設基準等(平成20年3月5日厚生労働省告示第63号)別表第七・別表第八 — 厚生労働省(最終改正 令和8年5月29日厚生労働省告示第229号)(参照 2026-10-24)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第67号) — 厚生労働省(参照 2026-10-24)
- 健康保険法第55条 — 厚生労働省(参照 2026-10-24)
- 医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項等の一部改正(令和8年3月27日) — 厚生労働省(参照 2026-10-24)
- 訪問看護療養費の算定方法の改正に伴う実施上の留意事項(令和8年3月5日) — 厚生労働省(参照 2026-10-24)
- 訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(平成4年厚生省令第5号) — e-Gov法令検索(デジタル庁)(参照 2026-10-24)
- 請求事務の取扱い(訪問看護療養費) — 静岡県国民健康保険団体連合会(参照 2026-10-24)
- 訪問看護療養費請求書等の記載要領(令和8年3月27日改正・別添3) — 厚生労働省(参照 2026-10-24)